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終わる世界。

SS:ハルヒとSOS団。
こんなエンドマークの付け方を、もしかしたら彼らは、誰もが気付かぬうちに繰り返しているのかもしれない。



たぶんあたしだけが気付いたのだ。
有希はいつものように黙々と活字を追っていて、どうやらそれは古泉くんが勧めた推理小説らしい。なんであたしにそれが判るかって、有希の傍らに存在しているサイドテーブルの上には今朝古泉くんが持っていた文庫版シリーズ全巻入りのおしゃれな紙袋が、ちょこん、というには少しばかり大きな存在感を醸し出しつつ置かれているからだった。ハードカバーとどちらにしようか迷ったんですが、なんて言っていたから、キョンが「文庫で正解だ」って呆れたように返していたっけ。あたしもまあキョンに同意ね。いくら本が好きだからってある程度の長さがある長編シリーズ全巻ハードカバーは、女の子が持って帰るには相当、重量が大変なことになりそうだと思うし。というかハードカバー版と文庫版とで同じシリーズを全巻持ってるなんて、古泉くんにちょっとだけ吃驚した。
それでその、古泉くんはといえばやっぱりいつものようにキョンと二人チェスなんかに勤しんでいて、だからそう、そもそもその位置からだと死角になるだろうこともあって、有希と同じく、彼も気がついてはいないようだった。相対するキョンはといえば、さっきからちらちら見ていたからわかるけれど意外なほどに弱い古泉くんが今回苦し紛れに置いた一手が急所だったみたいで、腕を組んで結構真剣に長考している。時折気がついたように二人とも傍らの湯呑に手を伸ばしているけれど、ちみちみと飲み進めているからそう簡単にはすべて飲み干すに至らないらしい。うん、てことはやっぱりそれに気が付いたのはあたしだけだったのだろう。
ころり、みくるちゃんの足もとに転がったリップクリーム。
可愛らしいピンク色のそれに、ああやっぱりみくるちゃんだってリップを使うのねなんて思いながら拾い上げた。イチゴみたいなまあるい果実が散らばっている。もしかしたらベリー系の何かかもしれないけれどあたしも知らないフルーツのイラストで、残念ながらきっと輸入ものなのだ、読めない、初めて目にする言語が果実のイラストの合間を縫うように見え隠れしていた。
なるべく驚かさないようにって名前を呼んだのに、はっとしたように顔を上げたみくるちゃんはどうやらやっぱりぼんやりとしていたらしい。ごめんなさいありがとう、なんてちょっと頼りなげに微笑むのがあんまりにも女の子らしくてふわふわで、
だからちょっとだけ、興味を持った。
「ねえみくるちゃん、」
「はい」
「そのリップ、何処で買ったの?」
ぱちくり、なんて音が聞こえてきそうなくらい、いちど大きく瞬きして。次の瞬間。
さっ、とみくるちゃんの顔色が変わったのがわかった。
みるみるうちにみくるちゃんのくりくりとした二つの眼に涙が浮かんでくる、え、あたし、なんかまずいこと言ったのかしら、みくるちゃんに、みくるちゃんに。
どうしたらいいのかわからない、わからないからおろおろと何もできないでいれば、古泉くんの表情の変化に気がついたのかもしれない、とにかくやっとこちらに気を配る余裕が出来たのだろうキョンが声を張り上げて「お前、何言ったんだ!」なんて言って、とっても怖い顔をする。古泉くんも、何かを言いたげにあたしを見ている、のは、どうして。
違うんです、違うんですキョン君わたしが悪くって涼宮さんが悪いんじゃないんです。
リップクリームを握りしめて、みくるちゃんは必死に首を振ってる。けど、だけど、
あたしは、みくるちゃんを傷つけてしまったの、ねえ。
あたしは。
有希がそっと視線を上げた。
「――イヤ、」
こんなのは、だめ、駄目なの。
そう思った瞬間、ぐうるりと世界が回る。世界が回って、回って、まるでコーヒーとミルクみたいに、入浴剤を入れてかき回したお風呂みたいに、ぐうるりぐるぐる、世界が回って。
暗転した。




それはほんの少しのミステイク、

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